視察報告 : 岡山県岡山市(BDF事業による二酸化炭素排出削減と排出枠の売却の取組みについて)

端的に言えば「てんぷらの廃油で走る、環境にやさしいエコカー」の視察と言えるだろう。今は岡山市のごみ収集車、バキューム車、バスなど、行政、民間を含めては全部で174台。てんぷら油のにおいを漂わせながら町中をBDF(Bio Diesel Fuel) 車が走っている。


てんぷら廃油を使用することが環境にどのように影響するか?
CO2を削減する
化石燃料の使用を減らす
ごみを減らす
市民参加による啓蒙
等のメリットがある。

岡山市のBDF事業への取り組みは平成18年の提言書に始まり、もう10年近くなる。10年取り組んできた結果、事業を継続するには、ある程度の廃油量が確保できなくてはならないことがわかった。人口71万人の岡山のような大規模都市だからこそ可能になる。また、個人の廃油回収の量は固定化しているが、事業所の回収量は増やそうと思えば、もっと増やすことはできることもわかった。

今後事業を継続するための課題は活用先の確保である。通常、新車をBDF車として使用することはない。今活用中のBDF車は古くなって廃車になるだけなので、BDF車の数は減る一方となる。そのため、車両以外、例えばボイラーなど新しい用途を検討中である。活用先が拡大すれば、事業はもっと拡大するだろう。

果たして、東葛地域でこのBDF車は可能か?流山だけでは無理。岡山市は流山の約4.3倍。広域で柏市や松戸市と組めば可能性はある。現在、柏市や松戸市にはBDF製造の工場はある。柏市でBDF車に取り組んでいる団体がいると仄聞するが、今後、本格的にBDF車の活用を大規模で、考えてはどうか?

◆ クレジット(排出削減枠)について
私達の生活の中でどうやって二酸化炭素の排出量を減らしていくかは地球全体の喫緊の課題であるものの、現時点では、CO2削減の規定はなく、努力義務である。しかし、岡山市では、努力義務に終わることなく、実践している、

岡山市内のいつかの団体がクレジットを利用してカーボンオフセットを実施。例えば、ロードレースを実施すると、CO2を排出する。排出したCO2分を他の団体から権利を購入して、CO2を相殺する。つまり、カーボンオフセットする。規制があるわけでもないので、どうして、お金を支払ってまでカーボンオフセットをするのかという疑問はあるが、 「うちの会社は環境に対する意識が高いですよ」というPR効果にお金を支払っていることになるのだそうだ。

岡山市はバイオディーゼル燃料の導入で、クレジット在庫量が1713t-CO2。これまでの合計で、岡山市の国内クレジット売却実績は2,954t-co2。行政、市民の意識が高ければこその達成である。

今後、京都議定書で日本が約束した削減量を達成するためには、いずれは民間、あるいは、自治体にCO2削減の規制がかかるものと思うが、そのための努力を岡山市は先取りして実践している。自治体の今後の姿である。

注:カーボンニュートラル:何か活動をすると、CO2が排出される。この排出されるCO2を、吸収するCo2で相殺する
カーボンオフセット:カーボンニュートラルにするために、自分で削減できないCO2を、他の場所で実現したCO2削減量で埋め合わせる