仕事に明け暮れた日々・・・ソニー時代

ソニーに入社して、最初は外国部、そして、次は宣伝部で働いた。「女性が認められるためには、男性の2倍じゃだめ。3倍働かないと」女性課長からメガネ越しに言われた。

宣伝部は締切のある仕事なので、男性たちと一緒に、夜中1時頃まで残業することも少なくなかった。女性はそんなに遅くまで働いてはいけない時代だった。法律で規制されていた。

守衛さんが見回りに来ると、同僚の男性たちが「おい、来たぞ」と私に知らせる。その声で、私は机の下にもぐりこんで身を隠した。退社するときも守衛室の前を通る。同僚が「遅くまでお疲れさまです」と守衛さんに声かけている間に、私はまたしても、身をかがめ、見つからないように門の外に出た。「こんな女の人、見たことない」と言った同僚がいた。彼は城島明彦という作家になった。仕事がほんとうにおもしろい時代だった。