終末期の救急医療:救急車を呼ぶ? 呼ばない?

例えば、90歳を超えるやせ細ったおばあちゃんが常々、「私の人生は幸せだった。もう余計なことはしないでほしい。延命治療なんていらないよ。静かにあの世に行きたい」と言っていたとする。家族はそうだね、と賛同する。ところが、おばあちゃんの終末期になり、死期が近づき、いよいよ異変が起こる。そのとき、家族はどうするか? 

大半の家族はあわてて電話機に走るだろう。「救急車をお願いします!」

これは人間としてごく普通の感情だと思う。しかし、場合によっては、救急車の中で、心臓マッサージを施すこともある。心臓マッサージは時としてろっ骨もおれるぐらいの強いマッサージとなる。救急車で行えば救急治療だが、病院で行えば延命治療となる。救急隊は言う。
「119の電話をかけるということは、SOS、助けてほしいという電話と解釈します。あらゆる手を尽くして助ける手段をとります」
大津医師も言う。
「救急車を呼んで、延命治療は要りませんと言ったら、現場は大混乱します」

つまり、私たちが「延命治療は要らない」と言うならば、家族も含め、覚悟が必要!ということだ。終末期を迎え、いよいよとなったとき、「救急車を呼ばない」覚悟ができているのか?