母は90歳近くなって、たった今の記憶すら乏しくなっていった。加えて、昼夜逆転の生活となり、人が寝る時間に目が冴えてくる。30分おきにあれをしてくれ、これをしてくれと要望が出る。そうした行動を一晩中繰り返した後、夜明けにうとうと浅い眠りに入る。一般の生活はそこから一日がスタートするから、介護する人は寝ることもできない。家で介護を続けられるなら、それが一番いい。しかし、ままならないケースはいくらでもある。
以前に会派で和光市に視察に行った。当時、8 万人の市に特別養護老人ホームがたったの一ヶ所。その代り、介護保険料が特別安い!このシステムがいいと賞賛する男性議員も多い。けれど、母の介護を経験する私は、「介護保険料が高くとも、特養は絶対必要である。でなければ、介護する側が倒れる!」
国にせよ、市にせよ、誰かを介護した経験のない、ほぼ50代の男性が中心になって介護施策の決定がされる。介護施策は、だから、現実とのギャップが生じる!