1期目同様、2期目もすべての定例会で、一般質問をした。一般質問をするとき、心がけた点がある。
政治にかかわる者は、物事を大所高所から全体を見回すこと、言い換えれば、高い空から鳥の眼となって、町全体を見回すことが必要である。
一方で、空から見下ろす鳥には、大きなビル、広い野原、行き交う道路しか視界に入らず、地上の蟻が見えない。日々、地に足をつけて汗水たらして生きる蟻の姿は一匹たりとも視界に入ってこない。
あるとき、老人会の会長が嘆いていた。昭和30年代のかつての新興住宅地は高齢化が加速し、「あの人が朝、亡くなっていた」「この人は息子さん宅の近くの施設に移った」といった会話が日常的に交わされる。会長の後任はおろか、会計をまかす人を探すのも大変。ある行政幹部に、「高齢化が進んで大変です」と訴えると、その幹部は事もなげに、「そのうち入れ替わります」と答えたとか。会長曰く「返す言葉がなかった」 このとき、行政幹部は「鳥になっていた」、と私は思う。
一般質問で心がけていることは、鳥の眼には入らない、地に足を張って暮らす「蟻」の視線から質問するようにしている。