はじめに

この4年間、流山市は子育ての街として、全国に名を馳せた。この少子高齢化の時代、人口増加率6年連続日本一は井崎市政による功績として高く評価されるべきと思う。その一方で、新しい学校建設、子育て環境の整備に明け暮れたこの4年間、地域格差や世代間格差が顕著にあらわれた。

今期、私の最初の一般質問は、「2025年に向けた当市の在宅医療・介護体制について」だった。この4年間、流山市の介護と医療の状況はほとんど進んでいない。コロナ対策、子育て施策に追われていたにしても、である。人口が増えた今、都市の規模に見合う社会インフラを整える時期にきた。流山市の人口が21万人になんなんとする今、子育て、教育環境のみならず、医療、介護、公共交通等々、流山市の社会インフラは大丈夫なのか?十分に対応できるのか?

3期目の自分の取り組みを振り返ると、10年越し、5年越しに実現した提案が増えた。しっかりと、じっくりと、取り組んでこそ、実現する提案がある。

流山市議会議員 現在3期目

くすやま栄子

人口21万人の市に見合うインフラを・・・まずは医療から!


1自治体として、市民の安心安全をお届けするために、医療は欠かせられません。






右は人口10万人あたりの医師数を東葛北部の平均と比較したグラフです。東葛北部(松戸、柏、我孫子、野田、流山)の平均より、流山市の医師数は少ないです。(日本医師会のデータより)




そして、今後の医療の需要予測はどうか。下図は医療需要予測指数(2020年実績=100)です。(日本医師会のデータより)

団塊の世代が多い流山市において、2025年は大きな分岐点となります。これまで支える側だった団塊の世代が、徐々に、支えられる側にはいる。医療の需要は一気に高まります。一期目から3期目まで一貫して、私は医療体制の充実を求めてきました。当局はこれまで「隣の松戸市や柏市の医療が利用できる」という姿勢でしたが、いまや、 人口21万人になんなんとする流山市。いつまでも近隣に依存していくわけにはいきません。

【私の取り組み】

・市域全体の医療体制の充実,中でも、医療過疎地といわれる東部地域の医療機関の整備!

・2025年をふまえ、在宅医療の充実

・医療情報の提供

(流山の医療の歴史について書いています。こちら

2025年問題:まずは認知症対策!

 私が代表をしている市民団体主催で認知症医療最前線の講演会を開催しました。右の写真でご覧のとおり、定員500人のスターツおおたかの森ホールほぼ満杯。それだけ、認知症の問題はまさに国民病、みんなの問題であるということが証明されました。

私は総合司会をつとめました。会場からの質問の中には「先生のクリニックを流山につくってください」と切実な要望もあり、拍手が起こりました!

【私の取り組み】

・朝田先生が中心になって開発されたファイブコグ検査「脳の健康度チェック」を市民対象に行っています。 これまで、松ヶ丘、向小金、平和台、駒木台、南流山、美田等々で実施。 

・認知症の相談は、地域包括支援センター“高齢者なんでも相談室”。慢性的な人手不足を指摘し、次年度の増員を回答いただいた。

・シンポジウム等による認知症の啓蒙活動

介護予防、在宅介護の充実!・・・上野千鶴子さんと

3期目の最初の一般質問で、「2025年に向けた当市の在宅医療・介護体制について」と質問しました。この4年間、コロナ対策で追われたことを配慮しても、流山市は医療・介護をはじめとする2025年対策はほとんど進展していない。


「武蔵野の福祉」で有名な武蔵野市に視察に行きました。リバースモーゲージ、ムーバス、テンミリオンハウス等独自の事業をダイナミックに、柔軟に、福祉公団等、独自の体制で展開している武蔵野市。感嘆しました。視察の後、振り返り会で、同じ組織を作れば、流山でも可能なのだろうかと疑問が出たが、結論は、「いや組織を支える人たちの見識がスゴイ!」

この視察を、社会学者で東大名誉教授の上野千鶴子さんとご一緒できたのは光栄でした。上野さんは、充実した公的サービスを評価して武蔵野市を終の棲家として選んだ。

果たして、流山市はどうか。おひとりさまになっても在宅で最期を迎えられるほど公的サービスは充実しているのか?

【私の取り組み】

・おひとりさまになっても自宅で最期を迎えられる公的サービスの充実

・介護予防の充実

・介護人材の質をあげ、拡充する

 


流山の医療の歴史

東葛地域はかつて「医療過疎地」と呼ばれていた時代がありました。流山市在住の旅行作家山本鉱太郎氏に流山市の医療の歴史をおたずねしました。

「1980年代、時代のニーズにあわせて、「北医療グループ(現在、東京ほくと医療生活協同組合)」が全国各地に診療所をつくっていた頃の話です。新しい診療所の場所を探しているときに、医療施設の乏しい流山が候補地にあがり、江戸川河畔に病院を建設することを決めました。1982年の話です。」

◆市民のための流山初の病院建設! 

当時、流山市博物館友の会の会長の北野道彦氏もこの話を耳にされ、「これはなんといい話だ!」 北野氏は、元出版社の編集者で、都心から江戸川台の富裕者向け老人ホーム 協栄年金ホームに移り住んでいました。当時、ホームの人たちは病院に行くとなると、バスに乗って、契約している小金原病院に出かけていました。近くに病院がなかったからです。

◆建設基金について

もちろん、病院建設のためには莫大な資金が必要でした。当時、その資金集めのために、次の二通りの方法をとりました。

1 社員となって拠金

2 年利5%で出資

社員になれば、人間ドッグ割引などいくつかの利点も設けました。北野氏は、すぐに、まわりの方々に出資の理解を求めてまわりました。山本氏は言います。

「僕も北野さんの話に同調し、協力しようと思った。僕は社員として20万円、利息付出資として30万円、計50万円を拠金した。北野氏は100万円出したと思う。そのほか協栄年金ホームに住む方何人かが協力し、全市にまたがる市民の方々も多く協力した。」

こうして、市民の期待を担って、400床の大病院ができました。

この病院は残念ながら、わずか1年にして経営破たんしました。その原因はいくつかありましたが、

「最新の機器を大量に購入しすぎての果て」と、聞かされたそうです。

「社員としての20万円は返却不能、あとの30万円はその後3,4年かかって無利子で返却されました。それにしてもお粗末な末路でした」

この病院はそのあと、まったく別の医療機関の支援を受けるようになり、再建されました。

当時、多額の出資金を出してまで病院建設に期待した流山市民の方々の期待は今も変わらないはずです

【閑話休題】

 上野千鶴子さんと武蔵野市の視察をご一緒できました。そのさわやかな弁舌を聞きながら、ぜひ、彼女を流山にお呼びして、お話を聞きたいと思いました。

では、どんなテーマがいいだろう。私の想像は膨らむ。例えば、「延命治療は要らない」これは高齢者にとって、大きなテーマではないか。

上野さんはどう考えるだろう? 

流山の国会議員 齋藤健さんは法務大臣になったばかりだ。 法務大臣こそ、延命治療に大きくかかわる立場である。以前、来賓としていらしたとき、こんなお話をしていました、お父様の最期に際し、延命治療は要らないと思っていたが、お母さまが望まれたので、延命治療をした、と。

このお二人に対談の可能性はあるか、聞いてみました。齋藤健大臣からは、「とても興味があるが、大臣の間はできないそうにない」との返事がきた。


齋藤さんが大臣をおやめになったら、改めて依頼をかけたいと思う。(^_-)-☆ 


公共交通:ぐり~んバスの目的は収支率だけではない!

ぐり~んバスの収支率はとても高い!

下の図は、千葉県全体のすべてのコミュニティバスのルートを収支率の高い順(平成元年、コロナ前)にグラフ化したものです。赤いグラフは流山市のぐり~んバス6ルートの収支率です。いずれのルートも千葉県の中で非常に高い収支率を示しています。流山市のぐり~んバスは市民の皆さんにとてもよく利用されているから、収支率が高いということがよくわかりますね。


ぐり~んバスの収支率50%廃止枠は妥当か

流山市では、ぐり~んバスの収支率が50%を下がると、廃止対象になります。他の市で廃止基準をつくっているところは40%が多いです。 また、流山のぐり~んバスの廃止基準50%を、先ほどの千葉県全体のコミュバスにあてはめると、155ルート中、136ルートが廃止になります。残るコミュバスは千葉県で19ルートのみ。それは、コミュバスと言えるのでしょうか。 果たして、グリーンバス廃止50%枠は妥当か否かという問題が出てきます。


ぐり~んバス(コミュバス)はもともと赤字を補填する!

コミュバスとは、採算がとれないため、路線バスが走らないルートを走っています。採算はとれないけれど、市民の生活を確保するためにバスは必要だと判断したルートがコミュバスです。流山市では、ぐり~んバスです。 言い換えれば、赤字であることがわかったうえで、税金を投入してでも、市民のために必要と判断したのがぐり~んバスです。

ぐり~んバスの目的は何か?

学識経験者の方々は、コミュバスで大事なのは、収支率ではなく、高齢者の外出支援や中心市街地活性化、公共交通空白地域の解消などといった地域の課題が達成されているかどうか、だという声が多いです。流山市においても、同じだと思います。 おでかけがもっと気軽に使えるようになってもらうのがぐり~んバスの目的ではないのでしょうか。


【私の取り組み】

全国各地で設立されている地域公共交通協議会を一般質問で提案したのは5年前。 令和2年に、「流山市地域公共交通活性化協議会」がようやく実現しました。 国交省、バス会社、タクシー会社、一般市民等、交通関係者が一堂に会し、流山市全体の公共交通を審議、検討します。